海遊館(大阪市港区海岸通1)のワモンアザラシ「ミゾレ」(雄・2歳)が11月28日、北海道小樽市の「おたる水族館」に引っ越しする。
「ミゾレ」は2021年4月1日、母親「アラレ」と父親「モヤ」の間に生まれ、同館で初めて繁殖に成功したワモンアザラシ。誕生直後から低体温等の症状が見られたため、生後51日目まで飼育員が24時間体制でケアをする完全人工哺育で育てられた。出生時の全長は55センチ、体重2.44キロだったが、現在は健康状態も良く、体重約30キロまで成長した。
今年8月、繁殖を目的とした「ブリーディングローン」によって、おたる水族館への貸し出しが決定。新しい環境に適応しやすいよう繁殖適齢期前に移し、2館が共同で繁殖に取り組むという。誕生時にも立ち会い、ミゾレファンから「竹内パパ」「竹内父ちゃん」といった愛称で呼ばれる飼育員の竹内慧さんは「思いのほか早い旅立ちに寂しさを感じた。ミゾレをきっかけにワモンアザラシを知ったという方も多くいる。ミゾレの長所である人懐っこさを生かして、新生活でも頑張ってほしい」とエールを送る。
11月25日・26日の開館前後には、バックヤードからミゾレを撮影できるイベントを開いた。11月26日の最終展示日は、開館直後から水槽前が人で覆われるほど多くの来場客が詰めかけた。千葉県から駆け付けた女性は「2年半前にユーチューブでミゾレを初めて見て、胸をわしづかみにされて以来、月1回のペースで通っている。北の大地でも元気に生きろよと応援したい。来年は、小樽にも会いに行く予定をしている」としばらくの別れを惜しんだ。
おたる水族館でミゾレの飼育を担当する飼育員の浜夏樹さんは、23日から海遊館で引き継ぎの研修を始め、竹内さんからミゾレと多くの時間を過ごしコミュニケーションを取るようアドバイスをもらったという。浜さんは「(おたる水族館にいる)15歳前後の雌2頭とミゾレが早くなじめるようにサポートしたい」と話す。
おたる水族館での展示開始は、2024年春ごろを予定する。