関西国際空港(泉佐野市泉州空港北1)で3月16日、水素で走る燃料電池バスの運行が始まった。
関西国際空港を運営する関西エアポート(同)が取り組むCO2排出量削減の一環。燃料電池バスの導入は大阪府内初で、トヨタ自動車製「SORA(ソラ)」1台を運行する。燃料に軽油を使わず、水素と空気中の酸素の化学反応によって発生する電気を用いてモーターを駆動させ走行する。走行時にCO2(二酸化炭素)や大気汚染の原因となる有害物質を排出しない。
バスは、南海バス(堺市)が運行する第1ターミナルビルから展望ホール間の便などに使う。年間走行距離は約4万キロで、年間20~30トンのCO2削減を見込む。今後は、大阪・関西万博が開催される2025年を目標に、関西国際空港と大阪空港(伊丹市)間を走行するリムジンバスへの導入も目指す。
関西エアポートは、2050年までにCO2の排出量を「実質ゼロ」とする長期目標を掲げ、空港内に設置したソーラーパネルで再生可能エネルギーを導入したり車両に水素を供給する水素ステーションを設置したりしてきた。燃料電池フォークリフトの導入も進めている。
15日に行ったセレモニーで、同社の山谷佳之社長は「水素プロジェクトを進めてきたが、今回が大きな布石。大阪・関西万博までに準備を整え、世界でも先進的な環境の空港をアピールしたい」とあいさつ。吉村洋文大阪府知事は「万博までに燃料電池バス、電気バスなどの新しい移動手段を計画的に増やしていきたい」と話した。