海遊館(大阪市港区海岸通1、TEL 06-6576-5501)の新体感エリア「フォークランド諸島」水槽で6月7日、ミナミイワトビペンギンが誕生した。
2011年からミナミイワトビペンギンの人工繁殖に挑戦し、2016年6月に世界で初めて成功した同水族館。今年4月に葛西臨海水族園(東京都)の協力の下、ミナミイワトビペンギンの精子を採取・凍結し、その後解凍した精子を用いて人工授精を試みたところ、7日までに2羽が3個の卵を産み、1羽が誕生した。
凍結精子の人工授精による誕生が確認できれば、ミナミイワトビペンギンの事例としては世界初の快挙となる。結果は、DNA検査を行った約1カ月後に判明予定。7日に誕生したミナミイワトビペンギンのひなは、約70グラムだった体重が誕生から2日で約120グラムになり、すくすく成長している。
ミナミイワトビペンギンは、南極周辺の島々に生息し、体長は約50センチでペンギンの中でも小型の種。目の上にある黄色い冠羽が特徴。国際自然保護連合(IUCN)が定めるレッドリストで絶滅危惧種に指定されており、「日本で1年に誕生するミナミイワトビペンギンの数は1桁で、高齢などの原因で死んでいく数の方が多いのが現状」(広報の林成幸さん)という。
林さんは「飼育環境が整っている海遊館では、ひなだけでなく、国内最高齢のミナミイワトビペンギンも飼育している。生き物を飼育している意味や意義を明確にして、人工授精の技術を早く確立し、1%でもふ化率を上げていきたい」と意気込みを見せる。