大阪・北加賀屋駅近くに3月19日、国内外で活躍する8組のアーティストやクリエーターとコラボした賃貸住宅「APartMENT(アパートメント)」(大阪市住之江区北加賀屋2)がオープンした。
北加賀屋周辺エリアの土地の半分を所有している千島土地が事業主となり、数々のリノベーションを手掛けるアートアンドクラフト(西区)に企画・事業コーディネートを委託した。1912(明治45)年設立の千島土地は、土地や建物の賃貸や航空機のリース事業を手掛ける一方で、かつて造船業で栄えながらも現在では衰退傾向にあった北加賀屋一帯をアートで活性化させようと、さまざまな取り組みを行っている。これまではアートイベントを行ったり、アーティストを北加賀屋エリアに滞在、居住させるための取り組みを行ったりしてきたが、今回の賃貸住宅はアーティストではなく、「感度の高い一般人」をターゲットに据える。
同賃貸住宅は、1971(昭和46)年に鉄工所の社宅として建設され、2014年まで使用されていた建物をリノベーションしたもの。鉄筋コンクリート造の3階建ての建物が2棟あるうち、北側の棟の2・3階部分の8室を、8組のアーティストやクリエーターが個性豊かにリノベーションした。約41平方メートル、2LDKの間取りは壁面が構造体になっているため大きく変えられないが、制約がある中で今までの賃貸住宅にはないユニークな部屋が完成した。
紙やすりを壁紙の代わりに使い、住み手が壁に「やすられる」部屋や、部屋の中を庭に見立て、木や庭石風の家具を配置した部屋、無数のコンセントが壁面や天井を埋め尽くす部屋。ほかにも、部屋に入るとカメラのスイッチが入り、部屋の中の様子を動画で撮影、記録し続ける部屋など、単なる賃貸住宅というよりも、アート作品の中に居住するような感覚になる。
現在、アートアンドクラフトが運営するウェブサイト「大阪R不動産」上で入居者を募集中。家賃は6万1,000円~6万5,000円で、別途共益費として3,000円が必要。これまで約350人が物件見学をしたが、今のところ入居者は決定していないという。今後、1階部分に店舗やSOHOを誘致するほか、南側の棟もいずれリノベーションする予定だという。